フェルガナ州の19の学校では日本の教育制度が導入されています。専門家らは日本の教育制度は子供たちに学習しやすい環境を与え、それによって学習のスピードがあがる他、友情を育むことにも役立っていると話しています。
コーカンド第6一般教育学校ではその効果が見られています。この学校の低学年9クラスでは308人が学んでいます。この子供たちには別の建物が用意されており、入口には携帯電話を置く棚と下駄箱が用意されています。また、手を洗う専用の部屋もあります。
建物には高速のインターネット、Wifiが整備されています。教員に必要な環境も整っており、各教員にはノートブックが支給され、教室には電子黒板が備え付けられています。職員室にはカラープリンターも設置されています。また、1年生にはタブレットが配られています。
フェルザホン・カッハロワ校長は「日本の教育制度は短期間で一定の成果をもたらしていると言っても過言ではありません。それは、子供たちの学習意欲や学習のスピードがあがり、お互いに思いやる心が生まれるなど振る舞いが良くなったことなどに表れています。正当な理由がなく学校を休む子供もおらず、子供たちは状況を判断する力もつけています。」と述べています。
実験として休み時間に教室と校庭に故意に紙と空のフードパックを置いたところ、以前のように誰も無視することなく、子供たちはそれを一緒にきれいに片づけました。自分と他人を敬う心を育てる日本の教育制度が生かされていることは明らかです。
子供たちが働く大切さを学ぶために、学校の敷地内の土地の一部があてがわれており、土を耕すために必要な道具も用意されています。このような活動を通して、子供たちは自然を大切にする心を学び、それと同時に体験を通して知識の習得をしています。また、ロボット工学や数学、情報技術に関するクラブがある他、「先輩」クラブという日本語を学ぶクラブもあります。
掃除は子供たち自身が行っており、各教室は清潔に保たれ、整理整頓されています。低学年の教室には必要な掃除用具が揃っています。給食では割れない食器とトレーが使われ、給食の後は子供たちが食器を洗い、専用の棚に戻します。
教員の一人ヨクトホン・ゾキロワさんは「授業ではディスカッションが盛んに行われるように努めています。子供たちが積極的に授業に取り組み、最新の情報技術を活用できるように才能を伸ばすことが大事です。このような取り組みによって、自発的な考え方を伸ばすと同時に世界観を広げ、いかなる状況にも正しく反応できる力をつけることができます。日本の教育現場では子供たちに対して声高に話すことはなく、ウズベキスタンでも同じような対応が求められています。」と述べています。
注目すべきことに、子供たちは日本語を自由に話し、上手にタブレットを使いこなしています。ロボット工学の学習も進んでおり、子供たちは道にある障害物を事前に知らせてくれるロボットを開発しました。
特筆すべきは各教室には当番表や課外授業のスケジュールなどを貼りだすクラスのコーナーがあることです。
ヌルホン・アブドゥラフモノワさんは「息子が学校で学んでいますが、新しい教育制度の下で学んだことは家や外での振る舞いに表れています。子供はよく勉強していて、特に情報技術と日本語を頑張っています。無駄な時間を過ごさないように努めていて、兄弟の面倒もよく見ています」と話しています。
学校には音楽室もあり、12種類の伝統的な楽器が揃っています。希望する子供たちはこれらの楽器を演奏することができます。一年を通して、教師は成績と品行について書かれた書類とともに子供一人一人の保護者と面談しています。
フェルガナ州幼児・学校教育局のオゾダ・ラフモノワ課長は次のように語っています-「日本の教育制度の基本的な理念は子供たちに自由で創造性豊かな考え方を身につけさせることであり、その学習レベルは高く、小さい時から清潔さを保ち、健全な生活を身に着けること、若い時から専門的な教育に力を入れ、社会で通用する知識を深めることなどに取り組んでいることが特徴的です。日本の教育制度を取り入れている学校では毎日道徳の授業から始まります。備品の整備や衛生管理の向上にも対策が取られており、生徒たちも教員もドレスコードが決められています」。
小学校教諭免許を持つ後藤三加子さんとロボット工学・機械工学が専門の小金澤鋼一教授はフェルガナ州知事の教育担当アドバイザーを務められています。テレビ会議システムのズームを利用して、フェルガナ州の教員向けに講義が行われており、日本の教育手法が積極的に取り入れられています。
これらの学校では教員にとってもすばらしい環境が整えられ、職員室はそれぞれのアイデアを共有し、授業の計画を立て、成果をたたえるなど、日々の業務について、いつでも遠慮なく話し合える場に変化を遂げました。このような経験を広く周知するため、教育セミナーや実務的なセミナーが開催されています。また、授業参観やクラブ見学などの実施にも特に力を入れています。教員の作業の助けとなる執務室も用意されており、必要な資料や設備などが整っています。
教育としつけは互いに切り離せないものです。フェルガナ州の学校での取り組みは子供たちの知識や技能を向上させ、世界観を広げる助けとなっています。